サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務をしています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、新規個別指導、集団指導、個別指導、監査の対応法についてお話をします。
まず、指導、監査のコラムの一覧をご紹介します。
その上で、指導監査の対応のポイントなどをご説明致します。
指導監査の他のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期
9 個別指導の指摘事項:基本診療料、医学管理、在宅医療
10 個別指導の指摘事項:処置、請求事務、診療録
11 関東信越厚生局の個別指導:診療録 傷病名、初診料
12 関東信越厚生局の個別指導:医学管理、在宅医療
13 関東信越厚生局の個別指導:検査、画像診断、投薬
14 関東信越厚生局の個別指導:手術、麻酔、看護、一部負担金
指導監査の対応のポイント
個別指導の対策のポイント
皮膚科医院に対する保険の集団指導、個別指導は、行政指導といわれるもので、法令に則った保険診療、診療報酬請求などを皮膚科医に周知徹底させるためのものです(※なお、個別指導は行政指導ではないという議論がありますが、専門的な話になりますので立ち入りません。)。そこで、集団指導や個別指導それ自体は、皮膚科医に不利益を課すものではありません。しかし、個別指導などの結果いかんで、監査、そして保険医・保険医療機関の取り消しなどの行政処分がなされ得ることから、保険請求についてやましいことがなかったとしても、医師の心理的な負担は相当なものとなります。万が一、不適切な診療報酬請求をしていた場合は、それが故意ではなく過失によるものであっても、場合により、保険医の取消しなどの行政処分の対象となります。そのため、特に個別指導への対応の失敗は、医院の経営、存続を揺るがす事態に繋がります。
以下、個別指導の対策のポイントをごく簡単に説明します。
1 弁護士を帯同させる
個別指導では、どんなに度胸がある方であっても、不安を感じ、緊張してしまうものです。その結果、冷静な対応ができなくなり、認めてはならない真実に反する事実を、誘導されて認めてしまうことがあります。同様に、担当官と大声で口論をしてしまい、担当官の心証を著しく悪化させてしまうこともあります。担当官も人間ですので、皮膚科医から感情的な対応をされると、厳しい対応で臨んでしまうものです。
以上の不適切な対応を防ぐためには、手前味噌ですが、自分の完全な味方である弁護士を帯同し、個別指導に同席させることをお勧めします。医師が担当官の質問への回答に困ったときなど、公式には弁護士の発言は認められていないものの、必要に応じ助け舟を出せることがありますし、弁護士が帯同するということそれ自体で、担当官の質問が慎重になる効果が期待できます。
弁護士を帯同させると、担当官に、やましいところがあるから弁護士を連れてきているのではないかと警戒され逆効果なのではないか、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昨今では、弁護士の帯同は珍しいことではなくなっています。弁護士の帯同は、担当官に法律に則った冷静な対応をさせることに繋がり、個別指導対応において医師側に良い効果が期待できるというべきです。
2 事前準備をきちんと行う
悪いことはしていなから、正直に話せば良い、出たとこ勝負でなんとかなる、と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは、学校の定期試験に試験対策をせずに臨むようなものです。十分な対策、事前準備を行うことをお勧めします。
事前準備の方法ですが、保険医協会に連絡し個別指導の知識のある皮膚科医に指導してもらうことなどが考えられます。ただ、本業が別にある皮膚科医のサポートには限界がありますので、これについても、皮膚科の保険指導に詳しい弁護士にサポートを依頼し、個別指導における心構えや応答方法、対応方針などを十分に打合せ、準備することをお勧めします。
保険医・保険医療機関への監査
保険医療機関等の診療内容または診療報酬の請求について、不正または著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握するために、監査が行われます。そして、監査の終了後に、監査で確認された事実に応じ、必要な措置(取消処分・戒告・注意)が採られます。
監査は、医院で不正などが疑われていることが前提になされるもので、終了後の取消処分などが控えており、監査の結果次第で、医院は倒産することになります。保険医療機関の指定取消処分、保険医の登録取消処分を受けると、その旨が公表されるほか、原則として5年間、保険医療機関の再指定、保険医の再登録を受けることができなくなります。また、保険医の取消処分は、医道審議会での医業の停止処分などに結び付きます。
医道審議会については、「
皮膚科の医道審議会、処分の対応法」のコラムに詳しく記載しています。
監査に至らないようにすることがまず重要ですが、監査に至ってしまった場合は、取消処分(または取消相当処分)がなされないように、適切に対応する必要があります。
皮膚科の保険指導に詳しい弁護士に監査への帯同と総合的なサポートを依頼し、十分に準備をして弁護士を帯同させて監査に臨むことをお勧めします。
保険医と保険医療機関への個別指導と監査の統計
指導と監査の実施状況
厚生労働省が公表している統計資料「平成29年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」によれば、平成29年度の医科の個別指導と監査の実施状況は以下のとおりです。
1 個別指導
保険医療機関等:医科1628件
保険医等 :医科6611人
2 新規個別指導
保険医療機関等:医科2231件
保険医等 :医科3042人
3 集団的個別指導
保険医療機関等:医科4426件
4 監査
保険医療機関等:医科25件
保険医等 :医科68人
保険医療機関の取消、保険医の取消の状況
厚生労働省が公表している統計資料「平成29年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」によれば、平成29年度の医科の保険医療機関の指定取消と保険医の登録取消の状況は以下のとおりです。
1 指定取消・登録取消
保険医療機関等:医科4件
保険医等 :医科5人
2 指定取消相当・登録取消相当
保険医療機関等:医科4件
保険医等 :医科0人
取消相当とは、取消処分を行うべきケースについて、保険医療機関が既に廃止され、または保険医が既にその登録を抹消しているなどのため、取消処分を行えない場合に行われるもので、取消処分の場合と同様に、取消相当である旨が公表されるほか、原則として5年間、再指定(再登録)を受けることができなくなります。
取消処分に至る端緒としては、統計上、患者やスタッフなどからの情報提供が多くなっています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、お電話を下さい。個別指導、監査への適切な対応方法などをアドバイスします。