指導監査に強い、医師のための弁護士です。
保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの医師は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、関東信越厚生局の医科の個別指導での、診療録、傷病名、初診料、再診料、入院料等に関する代表的な指摘事項についてご説明を致します。 指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成26年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項」に基づいています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは、以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 医科の個別指導と監査
診療録等
診療録
〇 診療録の取扱いが不適切なので改めること。診療録は保険請求の根拠となるものであり、保険医は診療の都度、遅滞なく必要事項を記載すること。
診療録の記載内容
〇 診療録に必要事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。
・ 診療の開始年月日、終了年月日、転帰欄の記載がない又は不備である。
・ 主訴の記載が不備である。
・ 症状、所見、治療内容、治療計画等の記載が乏しい。
〇 診療録の記載が乱雑なため判読困難な例が認められたので、第三者にも判読できるような丁寧な記載に努めること。
〇 傷病名欄の1行に複数の傷病名が書かれている例が認められた。1行には1傷病名のみを記載すること。
〇 診療録に医師の署名がない。複数の保険医による診療が行われる場合は、責任の所在を明確にするため、診療の都度、診療録に署名又は記名・押印等を行うこと。
診療録の記載方法
〇 診療録等を鉛筆で書いている例が認められたが、ペン等で記載すること。
〇 診療録の修正は、修正前の内容が判読できるよう二重線で行うこと。
〇 診療録では以下の記載方法は避けること。
・ 鉛筆書き
・ 欄外記載
・ 不適切な空行処理
・ 修正液及び修正テープによる訂正
・ 塗りつぶしによる訂正
傷病名等
傷病名
〇 医学的に妥当性のある傷病名を記載すること。
〇 傷病名については適宜見直しを行い、中止、治癒などの病名整理をすること。
・ 急性疾患でありながら、長期にわたってその転帰が未記載。
〇 傷病名が症状・所見及び検査結果等の根拠に基づかない例が認められたので改めること。
・ 甲状腺機能低下症、逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝機能障害、糖尿病の疑い、糖尿病、ビタミンC欠乏症
〇 傷病名の記載がない例が認められたので改めること。
〇 単なる状態や症状を傷病名として記載している例が認められたので改めること。
・ 嘔気、筋肉痛、疼痛、腹部膨満、めまい
〇 傷病名に、部位・左右・急性・慢性等の記載がない例が認められたので改めること。
・ 部位の記載がない例
湿疹、褥瘡、白癬
・ 左右・急性・慢性等の記載がない例
変形性膝関節症、気管支炎
〇 傷病名を整理しないで、重複して付けていた例が認められたので改めること。
・ 「逆流性食道炎」と「難治性逆流性食道炎」
・ 「頸椎症」と「変形性頸椎症」
・ 「高コレステロール血症」と「高脂血症」
・ 「糖尿病」と「2型糖尿病」
・ 「脳梗塞の疑い」と「脳幹梗塞の疑い」
〇 長期間整理されていない疑い病名の例が認められたので改めること。
〇 診療報酬明細書の作成にあたり、主病名が判別可能になるよう記載すること。
〇 診断群分類について、次の不適切な診断群分類の選択が認められたので改めること。
・ 傷病名の選択が医学的に妥当と思われない。
診療報酬明細書に記載された傷病名
〇 検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠がない傷病名の記載が認められたので改めること。
・ いわゆるレセプト病名が見られる。
(いわゆるレセプト病名の例)
甲状腺機能亢進症の疑い、気管支喘息、逆流性食道炎、心不全の疑い、胃潰瘍、慢性胃炎、肝機能障害、糖尿病の疑い、腎機能低下、膀胱炎、鉄欠乏性貧血、統合失調症、ビタミン欠乏症
診療録と診療報酬明細書の不一致
〇 診療報酬明細書の内容が、診療録に記載された内容と一致しない例が認められたので改めること。
基本診療料
初診料
〇 初診料の算定要件を満たしていない例が認められたので改めること。
・ 診療継続中の患者について、新たに発生した他の傷病で初診料を算定。
・ 再診料を算定すべきであるのに初診料を算定。
再診料
〇 再診料を算定出来ない例が認められたので改めること。
・ 診療録に、診察所見の記載がない。
・ 電話再診料を、再診料として算定。
・ 同日受診の再診料について、一連の医療行為に対して算定。
〇 外来管理加算の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載がない、又は、乏しい。
〇 電話等による再診料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 検査結果を電話で伝えただけのものを算定
・ 電話において、治療上の意見を求められていないもの。
入院料等・入院診療計画
〇 入院診療計画書の様式が基本診療料の施設基準等の別添6(別紙2)を参考とした様式になっていないので改めること。
〇 入院診療計画書の記載が不備である例が認められたので改めること。
・ 説明を受けた患者又は、家族の署名がない。
・ 「その他(看護、リハビリテーション等)」の記載が画一的で個々の患者の病状に応じて作成されていない。
・ 症状、治療計画、全身状態の評価、検査内容、看護計画、リハビリテーション等の計画の記載がない。
・ 特別な栄養管理の、必要性の有無の記載がない。
〇 入院診療計画書の写しを診療録に貼付していない例が認められたので改めること。
入院料等・院内感染対策
〇 院内感染防止対策を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・ 感染情報レポートが院内の疫学情報等として把握、活用されていない。
入院料等・医療安全管理体制
〇 医療安全管理体制を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・ 安全管理の責任者等で構成される委員会の機能が十分発揮されていない。
入院料等・褥瘡対策
〇 褥瘡対策を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・ 褥瘡対策について、専任の看護職員が褥瘡計画を作成していない。
入院料等・栄養管理体制
〇 栄養管理上の課題に関する記載が栄養管理計画に記載されていない例が認められた。
入院基本料
〇 入院基本料の看護要員数等の検証が適正に行われていないので改めること。
・ 病棟において、実際に入院患者の看護にあたっている看護職員の勤務時間が基となっていない。
〇 重症度、医療・看護必要度
・ B項目の評価について、判断の根拠となる記録が乏しい。
〇 療養病棟入院基本料に係る医療区分・ADL区分の評価について、不適切な例が認められたので改めること。
・ 医療区分の評価が適切に行われていない。
入院基本料等加算
1 救急医療管理加算
〇 救急医療管理加算の算定において、重症と認められない患者について算定している例が認められたので改めること。
2 感染防止対策加算
〇 特定抗菌薬に係る届出又は許可の体制が一部確保されていない例が認められた。
3 総合評価加算
〇 高齢者の総合的な機能評価のための職員研修が計画的に実施されていない。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、迷わずお電話を下さい。経緯や診療状況などを十分に聴取した上で、個別指導、監査への適切な対応方法などを具体的にアドバイス致します。