指導監査に強い、医師のための弁護士です。
保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの医師は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消の事例のご紹介、ご説明を致します。
取り上げる事例は、平成28年2月付及び平成27年12月付の取消処分であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは、以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 医科の個別指導と監査
振替請求をした薬剤名一覧表の提出
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の実施に至る経緯
平成22年3月8日、匿名の者から、近畿厚生局指導監査課に対し、後発医薬品を調剤しているにもかわらず、先発医薬品を調剤したものとして診療報酬を不正に請求している旨の情報提供があった。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成24年10月11日、平成25年1月16日及び2月20 日、個別指導を実施したところ、診療報酬を請求しているにもかかわらず、購入実績が確認できない薬剤が見受けられたことについて、医師は、薬剤の振替請求は認めたものの、具体的に振り替えた薬剤名の回答がなかったことから、個別指導を中断した。
3 個別指導の中止、監査に至る経緯
平成25年6月12日、個別指導を再開したところ、実際に患者に調剤した薬剤名と振り替えて請求した薬剤名を記載した一覧表が提出され、振替請求が濃厚となったことから、個別指導を中止し、平成25年11月19日ほか計6回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
3 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成24年4月〜平成24年9月
不正請求 24名分 レセプト 94件 8万7599円
不当請求 27名分 レセプト 118件 4万0384円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 被保険者からの情報提供
平成22年8月27日、大阪府から近畿厚生局指導監査課に対し、当該医療機関を数回受診した後は受診していないにもかわらず、医療費通知に毎月受診したかのように記載されているとの情報が、複数の被保険者から大阪市に寄せられている旨の情報提供があった。
2 匿名の者からの情報提供
平成25年2月7日、匿名の者から近畿厚生局指導監査課に対し、当該医療機関が、ある女性から、知人の外国人の国民健康保険の被保険者情報を受け取り、その情報を基に診療報酬を不正に請求している旨の情報提供があった。
3 不正請求の詐欺容疑逮捕の新聞報道
平成25年6月27日、開設・管理者である医師が患者を診療したかのように装って診療報酬をだまし取ったとして、同月26日、詐欺容疑で逮捕された旨の新聞報道があった。
4 個別指導の中断に至る経緯
平成26年3月13日、個別指導を実施したところ、医師は、一部の患者について一部負担金を徴収していないことから、その補填のため診療報酬を不正に請求していたことを認めたものの、具体的な不正の事実が確認できなかったことから、個別指導を中断した。
5 個別指導の中止、監査に至る経緯
平成26年6月11日、個別指導を再開したところ、医師から、台湾や中国などの外国人女性のうち、経済的に一部負担金の支払いが困難である者に対し、一部負担金の支払いを免除し、その補填のため、診療日数を付け増して診療報酬を請求していた旨の回答があったことから、診療報酬を不正に請求していることが濃厚となったため、個別指導を中止し、平成26年10月7日ほか計8回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年5月〜平成27年1月
不正請求 6名分 レセプト 12件 18万6144円
不当請求 32名分 レセプト 197件 59万2600円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、迷わずお電話を下さい。経緯や診療状況などを十分に聴取した上で、個別指導、監査への適切な対応方法などを具体的にアドバイス致します。