指導監査に強い、医師のための弁護士です。
保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの医師は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消の事例のご紹介、ご説明を致します。
取り上げる事例は、平成25年6月付、平成25年6月付、及び平成25年6月付の取消処分であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは、以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 医科の個別指導と監査
施設基準の虚偽の届出による取消処分
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 匿名の者からの情報提供
平成20年12月1日、匿名の者から近畿厚生局福井事務所(以下「福井事務所」という。)に当該保険医療機関が不正な保険請求を行っているとの情報提供があった。
2 監査に至る経緯
当該情報に基づき福井事務所及び福井県が、共同で個別指導を実施したところ、一般病棟13対1入院基本料(以下「13対1入院基本料」という。)の施設基準の届出において、実際のタイムカード、勤務割表及び病棟管理日誌とは乖離した別の勤務割表(施設基準に適合するように装った)を作成していたことが判明した。また、刺青除去手術をした患者の病名を保険の対象となる病名として記載された診療録が確認された。このことから個別指導を中止し、平成21年10月29日から平成23年7月7日の間、計12回(延べ23日間)の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付増して、診療報酬を不正に請求していた。
3 施設基準の虚偽の届出
13対1入院基本料の施設基準について、虚偽の届出をし、診療報酬を不正に請求していた。
4 入院患者の外泊の不減算
入院患者の外泊について、入院基本料を減算せずに算定し、診療報酬を不正に請求していた。
5 保険適用であるとする請求
実際に行った保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
6 施設基準の定例報告添付書類の虚偽報告
13対1入院基本料等の施設基準に係る定例報告添付書類について、虚偽の報告をしていた。
7 不当請求
算定要件を満たさない再診料及び医学管理等の診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成17年4月〜平成21年9月
不正請求 57名分 レセプト 221件 2190万5651円
不当請求 36名分 レセプト 61件 14万3046円
※ 原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
糖尿病でない患者の生活習慣病管理料の請求
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 患者からの情報提供
平成21年11月24日、患者から健康保険組合を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、医療費通知に記載された日数が実際の診療日数より多いこと及び一部負担金の額が実際の支払額より多いとの情報提供があった。
2 付増請求、振替請求の自認
平成23年9月14日、個別指導を実施したところ、医師は、実際に診療していない日付を診療録に不実記載し、日数を付け増して診療報酬を不正に請求していたこと及び特定疾患療養管理料を保険点数の高い生活習慣病管理料に振り替えて請求していたことを認めたため、個別指導を中止した。
3 患者調査の実施
同年10月21日、患者22名を患者調査の対象として選定し、調査に応じた7名のうち4名の診療日数が診療報酬明細書の日数と相違していること及び(7名のうち)5名
の患者が糖尿病でないと回答したにもかかわらず、糖尿病を主病として生活習慣病管理料が請求されていることを確認した。
4 監査の実施
以上のことから、監査要綱の第3の1及び2に該当するものとして、平成24年6月6日から平成25年2月1日までの間で計6回にわたり監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求させていた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 その他の請求
実際は保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
4 不当請求
算定要件を満たさない初・再診料及び医学管理等の診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年1月〜平成23年8月
不正請求 69名分 レセプト 258件 76万0210円
不当請求 28名分 レセプト 137件 38万6657円
※ 原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録を行わない。
個別指導中の医師の入院と指導の延期
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 不正請求の情報提供
平成21年11月20日、匿名の者から社会保険診療報酬支払基金大阪支部を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、医院が情報提供者の家族の保険証を悪用し、実際には行っていない保険診療を行ったものとして、不正請求している旨の情報提供があった。
2 個別指導の中断
平成23年10月27日、個別指導を実施したところ、指導対象である患者30名のうち、7名分の診療録の持参がなかったこと及び持参した診療録の記載内容と診療報酬明細書の診療日数とが相違していたことから、個別指導を中断した。
3 医師の入院と指導の延期
同年11月28日、医師が入院したため、医師の妻から個別指導の再開について延期の申し出があった。その後、平成24年5月15日、医師から入院中であるが、個別指導には出席できる旨の申し出があった。
4 監査に至る経緯
同年7月19日、個別指導を再開したところ、一部の患者について一部負担金を徴収しておらず、それらの者に対し実際には行っていない保険診療を行ったものとして、医師自らレセプトコンピュータに入力して不正請求を行っていることを認めたため、個別指導を中止し、監査要綱第3の1及び2に該当するものとして平成24年7月19日、11月1日、11月7日及び平成25年1月25日に監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
3 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
4 診療録の不記載
診療録に記載されていないにもかかわらず、診療報酬を不正に請求していた。
5 自己診療請求
請求することができない自己診療に係る診療報酬を不正に請求していた。
6 不当請求
算定要件を満たさない初・再診料及び医学管理等の診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成19年1月〜平成23年6月
不正請求 47名分 レセプト 221件 283万9250円
不当請求 17名分 レセプト 90件 30万0971円
※ 原則として、登録の取消及び指定の取消相当の日から5年間は、
保険医の再登録及び保険医療機関の再指定を行わない。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、迷わずお電話を下さい。経緯や診療状況などを十分に聴取した上で、個別指導、監査への適切な対応方法などを具体的にアドバイス致します。