電話での相談のご予約・お問い合わせはTEL.03-5925-8437
平日:9時30分〜17時30分
弁護士鈴木が力を入れている医院法務・薬局法務に関するコラムです。
医院、薬局などにおいては、診療報酬や調剤報酬などの請求、保険請求について、正しく運用することが重要です。もちろん、保険診療・保険調剤のルールはきわめて複雑で、そのすべてを理解し完璧に運用することは困難かもしれません。しかし、保険医や保険薬剤師に登録し健康保険(社会保険・国民健康保険・後期高齢者医療)の保険診療等に携わる以上、少なくともその重要な点について、きちんと理解し、正しく運用することが必要です。
以上を前提に、では、正しく運用ができなかった場合にどのような事態となるのか、おぼろげに、厚生局の個別指導や監査が実施され、保険医療機関の取消処分などになるのではないか、と理解されている方が多いと思います。しかし、厚生局の係る処分等の公表について、状況・運用を理解している方は多くないように思います。
取消処分や自主返還に注意が向きがちですが、厚生局の指導監査、措置の枠組みにおいて、インターネットで情報が拡散する現在、行政機関による公表の問題は、たいへん重要です。
ここでは、保険医療機関で不正請求が行われた場合についての厚生局による公表を中心にご説明した上で、薬局の個別指導と監査などのコラムをご紹介します。不正請求に係る内容は、関東信越厚生局「保険医療機関等及び柔道整復師等において不正請求等が行われた場合の取扱いについて」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。また、弁護士鈴木がコメントをしています。
保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)並びに保険医及び保険薬剤師(以下「保険医等」という。)は、健康保険法等、保険医療機関及び保険医療養担当規則、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則等で規定されている保険診療(調剤)のルールに沿った診療(調剤)を行う必要があります。
【コメント】
保険医は、その義務として、いわゆる療担規則の遵守が求められます。療担規則の規制・ルールは非常に複雑であり、また、改正・変更されていきますので、キャッチアップのために常に最新の情報を入手しつつ、習得していくことが求められます。
この診療(調剤)報酬請求などに不正又は著しい不当があり健康保険法に違反した場合には、行政処分として保険医療機関等の指定の取消及び保険医等の登録の取消を行ったうえで保険診療を受けた患者(被保険者)の皆様の権利を守ることを目的として、行政処分の内容を公表することとしています。
【コメント】
不正請求などで個別指導・監査となり、取消処分となった場合、厚生局によって、その内容が公表されます。このご時世では、インターネットなどで公表された場合、(現実問題として)完全に消すことは困難ですので、公表は非常に厳しい取扱いと思われます。
また、行政処分が行われる前に、保険医療機関等や保険医等が自ら保険医療機関等の指定の辞退や保険医等の登録の抹消を申し出て、自ら保険医療機関等や保険医等から外れることによって、行政処分から免れるケースがあり、このようなケースについては公表を行っておりませんでしたが、保険診療を受けた患者(被保険者)の皆様の権利を守ることが目的であることに鑑み、すでに指定を辞退した保険医療機関等や登録抹消した保険医等についても、取消に相当する場合には、地方社会保険医療協議会の審議を経て、名称、氏名、不正理由、不正請求金額などを公表することといたしました。
【コメント】
現在では、取消相当の場合でも、厚生局により氏名等が公表されることになっています。保健医療機関の辞退などをしても、取消相当となれば、公表から逃れることはできません。
今後とも健康保険法等によるルールを逸脱した不正行為については、厳正に対処し行政としての役割を積極的に推進してまいります。
柔道整復師は、健康保険法等に基づく療養費の受領の委任を被保険者から受け、保険者等に請求する場合は、受領委任の取扱いを定めた規定(通知)の内容を遵守しなければなりません。
【コメント】
受領委任の取扱いの遵守は、受領委任を取扱う柔道整復師の義務となります。
この柔道整復施術に係る療養費の請求内容に、不正又は著しい不当が認められた場合は、受領委任の取扱いを中止し、施術を受けた患者(被保険者)の皆様の権利を守ることを目的として、措置内容を公表することとしております。
【コメント】
不正請求などで受領委任の取扱いの中止となった場合、その措置内容が厚生局に公表されます。
また、受領委任の取扱いの中止措置を行う前に、当該柔道整復師が受領委任の取扱いを辞退した場合又は当該柔道整復師が所属する施術所が廃止された場合に、受領委任の取扱いの中止相当の措置を受けた柔道整復師についても、同様に公表しております。
【コメント】
中止措置の前に柔道整復師が受領委任の取扱いを辞退するなどしても、中止相当として、中止措置の場合と同様に厚生局に公表されます。
今後とも、不正に療養費を請求する行為については、厳正に対処し、行政としての役割を積極的に推進してまいります。
1 厚生局の個別指導(通報)
2 厚生局の監査(振替請求)
3 患者による不正請求の通報
4 死亡した患者に係る診療報酬不正請求
5 コンタクトレンズの不正請求
6 接骨院・鍼灸院との不正請求
7 厚生局の監査の拒否、監査欠席
8 診療録の改ざん、書き換え、追記